性的指向及び性自認の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案(以下、本法案という)について、報道によると、自由民主党は今国会である第204回国会への提出を断念したということである。
本法案は、全ての国民が、その性的指向又は性自認にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及び性自認を理由とする差別は許されないものであるとの認識の下に、性的指向及び性自認の多様性を受け入れる精神を涵養し、もって性的指向及び性自認の多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とするものである。
わが国には、性的マイノリティに対する誤解や偏見から不当な差別にさらされ、メンタルヘルスの悪化、更には自死においこまれる当事者が少なからず存在する。国際的にも性的マイノリティの人権保障について理解が進む中、性的指向及び性自認の多様性について国民の理解の増進を図ることは、基本的人権の尊重という憲法の理念からも急務であり、本法案の今国会への提出、及び早急な施行を強く求めるものである。
令和3年6月4日
東京青年司法書士協議会
会長 中村貴寿